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2015年9月13日に実施されました2級FP技能士試験の学科試験問題の解答からポイントとなる事項を学習します。ここから、さらに詳細な内容であったり、関連する事項などについて、学習のきっかけとなればと考えます。
なお、試験問題の全文と模範解答は、 一般社団法人 金融財政事情研究会 の http://www.kinzai.or.jp/
また、試験問題と解答については,特に指示がない限り、2015年4月1日現在施行の法令等に基づいています。
問題51~問題60(相続・事業承継)について、模範解答と照合の上、公開しています。
問題 51 平成27年8月に夫から下記の財産を受けた妻が平成27年分の贈与税の課税価格から控除することができる金額(基礎控除額と配偶者控除額との合計額)として、最も適切なものはどれか。なお、妻は、平成27年中に下記以外の贈与は受けていないものとし、納付すべき贈与税額が最も少なくなるように計算すること。
※妻が夫から受けた贈与財産は、試験問題をご覧ください。
贈与税の配偶者控除額は、最高2,000万円と『居住用家屋とその敷地1,900万円』のいずれか低い金額です。基礎控除額は年間110万円です。基礎控除額と配偶者控除額との合計額は、2,010万円です。
問題 52 贈与税の納付に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. 適切です。 『受贈者は、原則として、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日までに贈与税の申告書をその者の住所地の所轄税務署長に提出し、その申告書の提出期間までに贈与税を納付しなければならない。』
2. 適切です。 『贈与税の納税義務者は、金銭による一括納付が原則であるが、所定の要件を満たせば、分割して納付することも認められる。』
3. 適切です。 『贈与者は、受贈者のその年中の贈与税額のうち、贈与財産の価額に対応する部分の金額について、贈与財産の価額に相当する金額を限度として、贈与税の連帯納付義務を負う。』
4. 不適切です。 『受贈者の配偶者(贈与者ではない)』は、贈与者ではないことから、『贈与税の連帯納付義務』を負いません。
問題 53 下記<Aさんの親族関係図>に基づく被相続人Aさんの相続人に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
※『<Aさんの親族関係図>』は試験問題をご覧ください。
1. 不適切です。『Cさんが相続の放棄をした場合、FさんがCさんを代襲して相続人』となることはできません。相続を放棄した者の子は代襲相続できません。
2. 適切です。『Cさんが欠格事由に該当して相続権を失った場合、FさんがCさんを代襲して相続人となる。』
3. 不適切です。『BさんがAさんの相続開始前にすでに死亡していた場合、MさんがBさんを代襲して相続人』となることはできません。被相続人の配偶者の兄弟姉妹は代襲相続できません。
4. 不適切です。『DさんがAさんの相続開始前にすでに死亡していた場合、GさんがDさんを代襲して相続人』となることはできません。被相続人の子の配偶者は代襲相続できません。
問題 54 民法に規定する相続分に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. 不適切です。 『相続人が被相続人の配偶者、長男および長女の合計3人である場合』、『配偶者』の法定相続分は2分の1、『長男および長女の法定相続分』はそれぞれ4分の1です。
2. 不適切です。 『相続人が被相続人の実子と普通養子縁組に基づく養子の合計2人である場合、実子の法定相続分』は2分の1、『養子の法定相続分』は2分の1です。
3. 不適切です。 『相続人が被相続人の配偶者と兄の合計2人である場合、配偶者の法定相続分』は4分の3、『兄の法定相続分』は4分の1です。
4. 適切です。 『相続人が被相続人の長男と孫(相続開始時においてすでに死亡している長女の代襲相続人)の合計2人である場合、長男と孫の法定相続分はそれぞれ2分の1である。』
問題 55 相続税の納税義務者に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. 不適切です。 『日本国内に住所のある者が相続または遺贈により財産を取得した場合』、国内外の制限なく取得した財産すべてが相続税の課税対象になります。
2. 適切です。 『外国に住所のある外国籍の者が、日本国内に住所のある被相続人から相続または遺贈により財産を取得した場合、その財産のすべてが相続税の課税対象になる。』
3. 適切です。 『相続時精算課税制度の適用を受けた受贈者が特定贈与者の相続時に相続財産を取得しなかった場合でも、相続時精算課税制度の適用を受けた財産について相続税の納税義務者になることがある。』
4. 適切です。 『人格なき社団が遺贈により財産を取得した場合、個人とみなして相続税の納税義務者になることがある。』
問題 56 被相続人の死亡により相続人が受け取る生命保険金および退職手当金の相続税の取扱いに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. 適切です。 『生命保険金の非課税限度額は、「500万円×法定相続人の数」の算式によって計算される。』
2. 不適切です。 『退職手当金の非課税限度額』は、「500万円×法定相続人の数」の算式によって計算されます。
3. 適切です。 『生命保険金の非課税限度額を算出する場合の計算の基礎となる「法定相続人の数」は、相続人の中に相続の放棄をした者がいても、その放棄がなかったものとしたときの相続人の数をいう。』
4. 適切です。 『相続の放棄をした者が受け取った生命保険金については、生命保険金の非課税金額の規定の適用がない。』
問題 57 次の費用等のうち、相続税の課税価格の計算上、相続財産の価額から債務控除することができるものはどれか。なお、当該費用等は、相続または遺贈により財産を取得した相続人が負担したものとし、被相続人および相続人は日本国内に住所があるものとする。
1.『準確定申告により納付した被相続人に係る所得税額』は、債務控除することができます。
2.『被相続人が生前に購入した墓地の代金で、その相続開始時において未払いであったもの』は、債務控除することができません。
3.『遺言執行者である弁護士に支払った被相続人の相続に係る遺言執行費用』は、債務控除することができません。
4.『被相続人に係る初七日および四十九日の法要に要した費用』は、債務控除することができません。
問題 58 平成27年中に開始する相続における相続税額の計算に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. 適切です。 『遺産に係る基礎控除額は、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」の算式によって計算される。』
2. 適切です。 『法定相続分に応じた法定相続人の取得金額が6億円を超える場合、その超える部分についての相続税の税率は55%である。』
3. 不適切です。 『相続人が未成年者の場合、控除される未成年者控除額はその未成年者が20歳に達するまでの年数1年』につき10万円が差し引かれます。
4. 適切です。 『相続人が相続により取得した宅地が「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」における特定居住用宅地等に該当する場合、330m2を適用対象面積の上限として評価額の80%を減額することができる。』
問題 59 土地の所有者の相続対策(相続税および贈与税の課税価格の低減)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. 不適切です。 『遊休地である宅地を青空駐車場として貸し付けることによって、その宅地は貸宅地として評価』されません。
2. 不適切です。 『角地である一画地の宅地について、角地である宅地と角地ではない宅地とに分筆すれば、一体として利用していても、分筆後の評価額は一筆ごとの単位で評価』されません。登記上、二筆の土地でも、これを一体として利用している場合は、一画地として評価されます。
3. 適切です。 『更地となっていた宅地に賃貸マンションを建築し、賃貸の用に供し、現実に貸し付けていれば、その宅地は貸家建付地として評価される。』
4. 不適切です。 『子が、居住の用に供する宅地を親から贈与された場合、贈与税の申告の際、その宅地について「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」の適用を受けること』はできません。
問題 60 中小企業における円滑な事業承継のための方策に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. 適切です。 『事業承継対策については、オーナー経営者の相続が発生してからでは取り得る対策が限られてしまうため、長期的な視野に立って早い時期から検討することが望ましい。』
2. 適切です。 『後継者の選定方針を明確にし、後継者候補を社内外に周知するとともに、後継者の十分な育成を早期に図ることが望ましい。』
3. 不適切です。 『オーナー経営者が死亡したときの相続税額の負担を軽減するため、オーナー経営者が保有する自社株式の大半を経営に関与しない第三者に生前に移転しておくこと』は、後継者が経営権を維持することが難しくなると考えられます。
4. 適切です。 『オーナー経営者が保有する自社株式を役員である後継者が取得する際の後継者の資金負担が心配される場合、あらかじめ、後継者の役員報酬を増やす等により相当の金融資産を確保しておく方策が考えられる。』