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『コンプライアンス』、そして、ファイナンスや情報通信のそれぞれの分野の『関連法律知識』を重点テーマとしていきます。

2009年9月アーカイブ

和解の確定効

和解は、争いの当事者が、自治的に争いをやめることを目的とした諾成・不要式契約です。

和解契約により、確定された事項は、仮に真実に反していても、和解契約の当事者はその内容に拘束され、新たな法律関係が創設されたことになります。このことを和解の確定効といいます。

錯誤との関係

和解契約にも、原則として錯誤の規定(民法95条)が適用されますが、和解の確定効との関係が問題となります。

まず、合意した事項自体の錯誤については、無効とはならないとされています。

つぎに、合意した事項自体でない事項で、たとえば、疑いのない事実として予定されていた事項についての錯誤や、争いの対象外であった事項についての錯誤の場合には、民法95条が適用されるとされています。

示談と後遺症

示談は、一般に、当事者が裁判外で和解をする場合をいいます。示談が成立した後に、予想されなかった後遺症などの損害が生じた場合には、示談契約、権利放棄条項の効力は否定すべきとされています。

示談によって被害者が放棄した損害賠償請求権は示談の当時予想していた損害についてのみのものであって、その後の不測の損害について拘束するものではないとされています。

公序良俗違反

和解契約の内容が公序良俗(民法90条)に反する場合、和解は無効です。

参議院と衆議院

憲法は、国会について、両院制を定めています。参議院と衆議院です。両院の関係をいくつか復習してみることにします。

 

まず、両院の活動について。

(1) 独立活動の原則。両院はそれぞれ独立に議事を行い、議決します。
(2) 同時活動の原則。両院は同時に召集され、同時に閉会します。

 

つぎに、憲法上の衆議院の優越について。以下の議決において、衆議院と参議院が異なるときは、衆議院の優越が定められています。

(1) 法律案の議決。59条。法律案について、衆議院で可決し、参議院がこれと異なった議決となったとき、衆議院で 2/3 以上の多数で再び可決したとき、法律となります。(衆議院の再議決の前に両議院の協議会(両院協議会)を開くこともあります。)
(2) 予算の議決。60条2項。両議院の協議会(両院協議会)を開いても意見が一致しないとき、衆議院の議決を国会の議決とします。
(3) 条約締結の承認。61条。
(4) 内閣総理大臣の指名。67条。

 

なお、両院独立活動の原則の例外として、両院協議会があります。両院協議会が開催されるのは、つぎのようなときです。

(1) 法律案の議決(59条)について、衆議院で可決し、参議院がこれと異なった議決(否決または修正)をした場合、衆議院の要求、または、参議院が要求して衆議院が同意したときに開催されます。
(2) 予算の議決(60条2項)、条約締結の承認(61条)、内閣総理大臣の指名(67条)について、参議院と衆議院で異なった議決をした場合、必ず、両院協議会が開催されます。両院協議会で意見が一致しないときは、衆議院の議決が国会の議決となります。

 

そのほか、衆議院のみに定められている権限があります。

(1) 予算先議。60条1項。
(2) 内閣不信任案決議。69条。

 

このようなことから、参議院は衆議院に対して第二院というように見られることもあります。ところが、議員の任期は、衆議院議員が4年。衆議院が解散されれば、この任期前に終了してしまうこともあるのに対して、参議院議員は6年。参議院議員は、衆議院議員よりも安定した議員活動が見込まれます。また、参議院議員は、3年ごとに半数改選というしくみがとられており、それぞれの選挙時における焦点・争点が必ずしも一致しない議員で構成されることも特徴と感じます。

 

ちなみに、両議院が対等とされるものです。

(1) 皇室の財産授与についての議決。8条。
(2) 予備費の支出の承諾。87条2項。
(3) 決算の審査。90条1項。
(4) 憲法改正の発議。96条。

 

第42条[両院制]

国会は、衆議院及び参議院の両議院でこれを構成する。

 

第59条[法律案の議決、衆議院の優越]

1 法律案は、この憲法に特別の定めのある場合を除いては、両議院で可決したとき法律となる。

2 衆議院で可決し、参議院でこれと異なった議決をした法律案は、衆議院で出席議員の3分の2以上の多数で再び可決したときは、法律となる。

3 前項の規定は、法律の定めるところにより、衆議院が、両議院の協議会を開くことを求めることを妨げない。

4 参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取った後、国会休会中の期間を除いて60日以内に、議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなすことができる。

 

第60条[衆議院の予算先議及び衆議院の優越]

1 予算は、さきに衆議院に提出しなければならない。

2 予算について、参議院で衆議院と異なった議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は、参議院が、衆議院の可決した予算を受け取った後、国会休会中の期間を除いて30日以内に、議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。

 

第61条[条約の承認についての衆議院の優越]

条約の締結に必要な国会の承認については、前条第2項の規定を準用する。

 

第67条[内閣総理大臣の指名、衆議院の優越]

1 内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で、これを指名する。この指名は、他のすべての案件に先だって、これを行う。

2 衆議院と参議院とが異なった指名の議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は衆議院が指名の議決をした後、国会休会中の期間を除いて10日以内に、参議院が、指名の議決をしないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。

 

第69条[衆議院の内閣不信任と解散又は総選挙]

内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は新任の決議案を否決したときは、10日以内に、衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。

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 (2011.08.28 21:00)