民法の条文にはありませんが、民法のテキストには必ず取り上げられている民法の基本原則についてみてみたいと思います。
- 権利能力平等の原則
- 所有権絶対の原則
- 私的自治の原則
- 契約自由の原則
- 過失責任の原則
条文にないため、いくつかの説がありますが、主にあげられるのがこの5つです。とても簡単にその内容をあげてみます。
権利能力平等の原則は、すべての自然人は等しく権利能力を有する、とするものです。
所有権絶対の原則は、私的所有権を認め何人に対しても主張できる権利である、とするものです。
私的自治の原則は、個人の自由な意思に基づいて私法上の法律関係を形成できる、とするものです。
契約自由の原則は、私法上の契約関係は個人の自由な意思によって決定される、というものです。
過失責任の原則は、過失がなければ責任を問われない、というものです。
内容の定義についても説がいくつもありますので、これに限られたものではありません。また、それぞれの原則は、相互に影響しあう関係にもあります。
つぎに、民法第1条は、基本原則についての条文です。
第一条(基本原則)
私権は、公共の福祉に適合しなければならない。
2 権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。
3 権利の濫用は、これを許さない。
私権の社会性を規定し、社会一般の倫理観念を要請する規定と位置づけられています。
なお、第2項は信義誠実の原則あるいは信義則、第3項は権利濫用の禁止、といわれています。