企業に導入される情報処理システムの構築費用の算出に使われることがいまでも多い「人月」。関係者の中には、この「人月」に疑問を感じてる方も多くいます。
一般に、雇用契約や委任契約、請負契約は、労務供給契約になります。人の労務について対価が支払われることになります。このようにみると、「人月」による算出については、ある程度合理性があるようにも思えます。また、この業界では下請負の使用が常にあるといえますので、このような事情も「人月」による算出と関連しているように思われます。
なお、請負契約は、仕事の完成を目的とする契約で、完成義務があります。請負人がこの完成義務を履行することによって、注文者にはその仕事の結果に対して報酬支払義務が生じます。
仕事の完成が目的で、それに対する報酬となるので、その報酬からは、労務供給契約でありながら、実際の人の労務内容との関係性において希薄になりがちと感じられます。
情報処理システムの構築費用として、ハードウェアや商用ソフトウェアなど、価格があらかじめ定まっている製品の導入が前提となることがほとんどでしょう。ただ、これらの製品自体の設定やチューニング作業は、人の労務になります。
また、ビジネスプロセス/ビジネスルール/ビジネスロジックや、ユーザビリティ、そしてそれらに合わせた前提製品とのインターフェース、などなど、作り込み作業がある場合も、人の労務になります。
このような作業の定量化/定型化、人の技量の考慮、作らない技術、などなど、「人月」という算出方法についての疑問を解消できそうな、いくつかの方法があげられます。