ファイナンシャル・プランニング技能検定試験の出題から、限定承認、単純承認、相続放棄についてみてみます。
次の問題は、平成19年5月の2級ファイナンシャル・プランニング技能検定 学科試験の問題です。
なお、この学科試験の全問題は、日本ファイナンシャル・プランナーズ協会のWebサイト http://www.jafp.or.jp/ 、金融財政事情研究会のWebサイト http://www.kinzai.or.jp/ にて公開されています。
問題54 限定承認に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1.相続人が数人いる場合における相続の限定承認は、限定承認をする相続人が単独で家庭裁判所へ申述することができる。
2.相続の限定承認は、被相続人の消極財産を限度として、積極財産を相続することである。
3.相続人は、相続があったことを知った時から、原則として3ヶ月以内に限定承認又は放棄をしなかったときは、単純承認をしたものとみなされる。
4.相続人が家庭裁判所へ限定承認の申述をした場合において、相続があったことを知ったときから、10ヶ月以内であれば、限定承認の取り消しをすることができる。
答えは、3。
相続人は本来、相続債務(消極財産)について無限責任を負うのですが、債務の過大な承継から相続人の利益を守るために、相続財産(積極財産)を限度とする有限責任に転嫁する手段が定められており、これを限定承認といいます。
限定承認をするには、原則として、相続があったことを知った時から、3ヶ月以内に、相続人全員で家庭裁判所に申述しなければなりません。
ちなみに、相続放棄は、相続の効果を無条件にすべて拒否するものです。相続の放棄をした者は、その相続に関して初めから相続人でなかったものとみなされます。
相続の放棄をしようとする者は、原則として、相続があったことを知った時から、3ヶ月以内に家庭裁判所に申述しなければなりません。
相続放棄は単独でできます。
そして、原則として、相続があったことを知った時から、3ヶ月以内に、限定承認も相続放棄もしなかったときは、単純承認、つまり無条件・無制限に承継するものとみなされます。
また、相続財産の全部または一部を処分したときも単純承認したものとみなされます。 そのほか、関連する事項をいくつかあげてみます。
・限定承認または相続放棄の撤回はできません。また、取消しは、一定の事由に該当する場合に限り認められます。
・相続を放棄した者の子は、代襲相続人にはなれません。