株主の権利の分類のひとつに、少数株主権と単独株主権があります。
少数株主権は、総株主の議決権の一定数または一定割合以上を所有する株主のみが行使できる権利をいいます。株主提案権などがこれにあたります。
単独株主権は、1株を持つ株主でも行使できる権利をいいます。会社法では、一株一議決権の原則より、議決権がこれにあたります。ただし、単元株制度を採用している場合、1単元に満たない株式には議決権が認められません。単元株制度において議決権は、少数株主権といえそうです。
2008年11月アーカイブ
会社といえば、一般的には株式会社のことを指すことが多いと思います。そこで、株式会社はだれのものか?といえば、株主のものであることは、いうまでもないでしょう。
会社法に関する書籍などでは、株式会社とは、
社員の地位が株式という均等に細分化された割合的単位をとり、株式の引受価格を限度とする有限の間接責任を負うだけの会社
というのような解説がよくみられます。ここでの社員とは、株主のことを指します。
また、ファイナンスに関する書籍などでは、会社(=株式会社)は株主の利益の最大化のために経営されるもので、また、株主は経営者が会社の株式の価値を増加させることを望んでいる、というような内容のことがよくみられます。
なお、会社は、株式会社だけではないので、その場合は、異なる考え方ができそうです。
リスクの分離と結合は、それぞれ、リスク・コントロールという手法のうちのひとつです。
ちなみに、リスク・コントロールという手法のなかには、そのほかに、リスク回避、リスク制御、リスク移転、があります。
また、リスクの処理技術には、リスク・コントロールのほかに、リスク・ファイナンシングという手法があります。
さて、リスク分離は、たとえば、分散投資においてポートフォリオを組む、というようなことがあげられます。そのほか、企業において工場を各地に分散させることによって地震などによる経済的損失の影響を減少させることなども、よく例としてあげられます。
また、リスク結合は、運送会社が保有する自動車を増やすことにより、リスクの不確実性が低減でき、ある程度の損害額が予測できることが例としてあげられます。また、保険会社は同様のリスクを持つ契約数を増やすことによって、不確実な事象も確実なものとしてとらえることができます。大数の法則と関連するともいえそうです。
分離と結合は、それぞれの言葉のイメージからは相反するものとなります。リスク・コントロールという手法からみると、リスク分離は、リスクの単位を細分化し独立させるのに対して、リスク結合は、不確実な同じリスクの数を増やしていくことになります。
リスクの処理技術には、リスク・ファイナンシングと、リスク・コントロールとに大きく分類されます。
そして、リスク・ファイナンシングは、保有と移転(転嫁)の大きく2つに分けられます。
保有は、リスクの経済的影響を自ら負担する手法で、移転(転嫁)は、リスクの経済的影響を他者に移転する手法です。
保有は、たとえば、入院に備えて自身で預貯金することや、借入をすることにあたります。また、移転(転嫁)は、保険によって保険会社にリスクを移転(転嫁)することがあげられます。
考えてみると、保険に入っていない場合は、暗黙のうちに保有という手法を選択していることになりそうです。また、保険契約で対象となっていない事項(リスク)についても、同じことになりそうです。
保有と移転(転嫁)のバランスは、人それぞれだと思われます。 また、どちらを考えるにしても、どの程度予防が可能かということも影響すると思います。
人は、生活環境や年齢などによっても、伴うリスクが変化することもあると、よくいわれます。そのように変化する状況と、あらためて保有と移転(転嫁)を意識して考えてみたとき、保険に対する考え方の変化、そして保険の内容の見直しがともなっていくものと思います。
リスクの分類には、純粋リスクと投機的リスクとに分ける考え方があります。
純粋リスクは、損失のみを生じるリスクで、投機的リスクは、損失あるいは利益が生じる可能性のあるリスクです。
純粋リスクについては、災害や事故など、投機的リスクについては、政治的経済的な変動などがあげられます。
保険が対象とするのは、純粋リスクであって、発生の確率が統計的・経験的に把握され(測定可能なリスク)、経済的価値の損失(経済的リスク)についてであるといわれます。
また、発生の確率は低いが経済的価値の損失が大きいリスクに対して、保険の活用が有効であるといわれています。
生命保険は、どのような場合に保険金が支払われるかによって、死亡保険、生存保険、生死混合保険の3つに分類されます。
そして、これらを組み合わせたり、特約を付加することによって多様な保険商品が生み出されています。
死亡保険
被保険者が死亡または高度障害になった場合のみ保険金が支払われる保険をいいます。
終身保険や定期保険が該当します。
生存保険
被保険者が将来のある時点まで生存していた場合のみ保険金が支払われる保険をいいます。
こども保険や個人年金保険が該当します。
生死混合保険
死亡保険と生存保険を組み合わせた保険です。被保険者が保険期間内に死亡または高度障害になった場合には、死亡保険金または高度障害保険金が支払われ、将来のある時点まで生存していた場合に生存保険金が支払われます。なお、保険期間満了時に支払われる生存保険金は、満期保険金といいます。
養老保険が該当します。
相続時、相続人のために相続財産の一定部分が法律上保障されています。この一定部分を遺留分といいます。
例えば、被相続人の遺言が、すべての相続財産を複数相続人の中の1人の相続人のみに相続させるという内容であった場合、遺言はもちろん有効ですが、他の相続人は遺留分に基づく減殺請求をすることができる、というものです。
なお、遺留分が認められるのは、兄弟姉妹以外の相続人です。
また、遺留分の額(総額)の割合については、
?直系尊属のみ(父母のみ)が相続人の場合は相続財産の3分の1
?それ以外(配偶者や子、子の代襲相続人がいる)の場合は相続財産の2分の1
となっています。
遺留分が認められる相続人(遺留分権利者)が複数人の場合、それぞれの遺留分権利者の遺留分の割合は、上記の遺留分の総額の割合(総体的遺留分)に対して、それぞれの法定相続分の割合を乗じたものとなります(個別的遺留分)。
このとき、遺留分の認められない兄弟姉妹の法定相続分の割合はないものとして計算することになります。
たとえば、被相続人が、両親(父母)と兄1人で、配偶者や子がないときの遺留分については、「?直系尊属のみ」の場合となり、両親(父母)はそれぞれ6分の1(1/3×1/2)、兄は遺留分なしとなります。
また、被相続人が、父と配偶者のみで、子がないときの遺留分については、「?それ以外」の場合となり、父は6分の1(1/2×1/3)、配偶者は3分の1(1/2×2/3)となります。
次の問題は、平成18年1月の2級ファイナンシャル・プランニング技能検定 学科試験の問題です。なお、この学科試験の全問題は、日本ファイナンシャル・プランナーズ協会のWebサイト http://www.jafp.or.jp/ 、金融財政事情研究会のWebサイト http://www.kinzai.or.jp/ にて公開されています。
問題52 死亡したAさんの相続人は、配偶者とAさんの兄弟(3人)の合わせて4人であった。Aさんは、公正証書遺言により全財産を配偶者に相続させるとしていた。Aさんの相続人である兄弟の遺留分に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1.兄弟姉妹全体の遺留分は法定相続分(4分の1)と同じ割合であるから、兄弟の各人の具体的な遺留分は、12分の1ずつとなる。
2.兄弟姉妹全体の遺留分は法定相続分の2分の1であるから、兄弟の各人の具体的な遺留分は、24分の1ずつとなる。
3.兄弟姉妹全体の遺留分は法定相続分の3分の1であるから、兄弟の各人の具体的な遺留分は、36分の1ずつとなる。
4.兄弟姉妹には遺留分が認められていないから、兄弟は、配偶者に対して遺留分を主張することができない。
答えは、4。
もう1問みてみます。平成17年5月の2級ファイナンシャル・プランニング技能検定 学科試験の問題です。
問題54 遺留分に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1.遺留分権利者は、被相続人の配偶者、子および直系尊属であり、子の代襲相続人には遺留分権が認められない。
2.遺留分権利者は、被相続人の生前に家庭裁判所の許可を得ることにより、遺留分の放棄をすることができる。
3.総体的遺留分の割合は、相続人が直系尊属だけの場合は、被相続人の財産の3分の1、その他の場合は2分の1である。
4.遺留分減殺請求権は、相続開始および減殺すべき贈与や遺贈があったことを知ったときから1年間、または相続開始時から10年間、これを行使しないと、時効により消滅する。
答えは、1が間違っています。 2の遺留分の放棄、4の遺留分減殺請求権の時効については、記述の通りです。 遺留分減殺請求権は、遺留分を保全するのに必要な限度で、遺贈及び贈与(原則として、相続開始前の1年間にしたもの)について認められるものです。
ファイナンシャル・プランニング技能検定試験の出題から、限定承認、単純承認、相続放棄についてみてみます。
次の問題は、平成19年5月の2級ファイナンシャル・プランニング技能検定 学科試験の問題です。
なお、この学科試験の全問題は、日本ファイナンシャル・プランナーズ協会のWebサイト http://www.jafp.or.jp/ 、金融財政事情研究会のWebサイト http://www.kinzai.or.jp/ にて公開されています。
問題54 限定承認に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1.相続人が数人いる場合における相続の限定承認は、限定承認をする相続人が単独で家庭裁判所へ申述することができる。
2.相続の限定承認は、被相続人の消極財産を限度として、積極財産を相続することである。
3.相続人は、相続があったことを知った時から、原則として3ヶ月以内に限定承認又は放棄をしなかったときは、単純承認をしたものとみなされる。
4.相続人が家庭裁判所へ限定承認の申述をした場合において、相続があったことを知ったときから、10ヶ月以内であれば、限定承認の取り消しをすることができる。
答えは、3。
相続人は本来、相続債務(消極財産)について無限責任を負うのですが、債務の過大な承継から相続人の利益を守るために、相続財産(積極財産)を限度とする有限責任に転嫁する手段が定められており、これを限定承認といいます。
限定承認をするには、原則として、相続があったことを知った時から、3ヶ月以内に、相続人全員で家庭裁判所に申述しなければなりません。
ちなみに、相続放棄は、相続の効果を無条件にすべて拒否するものです。相続の放棄をした者は、その相続に関して初めから相続人でなかったものとみなされます。
相続の放棄をしようとする者は、原則として、相続があったことを知った時から、3ヶ月以内に家庭裁判所に申述しなければなりません。
相続放棄は単独でできます。
そして、原則として、相続があったことを知った時から、3ヶ月以内に、限定承認も相続放棄もしなかったときは、単純承認、つまり無条件・無制限に承継するものとみなされます。
また、相続財産の全部または一部を処分したときも単純承認したものとみなされます。 そのほか、関連する事項をいくつかあげてみます。
・限定承認または相続放棄の撤回はできません。また、取消しは、一定の事由に該当する場合に限り認められます。
・相続を放棄した者の子は、代襲相続人にはなれません。
法定相続分は、法律によって定められている相続の割合です。民法では、遺言によって相続分が指定されていない場合に適用があります。また、遺言による相続分の指定が一部にとどまる場合、他の相続分について適用があります。
最初に、平成19年1月の2級ファイナンシャル・プランニング技能検定 学科試験の問題をみてみます。なお、この学科試験の全問題は、日本ファイナンシャル・プランナーズ協会のWebサイト http://www.jafp.or.jp/ 、金融財政事情研究会のWebサイト http://www.kinzai.or.jp/ にて公開されています。
問題52 民法に定める相続分等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1.相続人が配偶者と被相続人の両親の3人である場合、両親の法定相続分はそれぞれ6分の1である。
2.相続人が配偶者と長女の2人である場合において、遺言により長女の相続分を3分の1、配偶者の相続分を3分の2とすることはできる。
3.相続人が配偶者と被相続人の姉の2人である場合において、被相続人の姉が相続の放棄をしたときは、配偶者がすべての財産を相続する。
4.相続人が配偶者、被相続人の孫(相続開始時において死亡している長男の子)および二男の3人である場合、被相続人の孫の代襲相続分は3分の1である。
答えは、4が間違っています。
被相続人の孫(相続開始時において死亡している長男の子)の代襲相続分は、長男が受けるべきであった相続分と同じになります。1/2×1/2=1/4 となります。
民法に定められている法定相続分のポイントなどを確認してみます。
配偶者の法定相続分
?他に相続人がないとき、すべて。
?他の相続人が子(第一相続人)のとき、2分の1。
?子が相続人でなく、他の相続人が直系尊属(第二相続人)のとき、3分の2。
?子も直系尊属も相続人でなく、他の相続人が兄弟姉妹(第三相続人)のとき、4分の3。
子(第一相続人)の法定相続分
?他の相続人が配偶者のみのとき、2分の1。
?配偶者が相続人でないとき、すべて。直系尊属、兄弟姉妹があっても同じ。
※複数人の場合は均等割。ただし、非嫡出子の相続分は嫡出子の相続分の2分の1。
直系尊属(第二相続人)の法定相続分
?他の相続人が配偶者のみのとき、3分の1。
?子(第一相続人)が相続人のとき、なし。配偶者が相続人であってもなくても同じ。
?配偶者も子も相続人でないとき、すべて。兄弟姉妹があっても同じ。
※複数人の場合は均等割。
兄弟姉妹(第三相続人)の法定相続分
?他の相続人が配偶者のみのとき、4分の1。
?子(第一相続人)が相続人のとき、なし。配偶者が相続人であってもなくても同じ。
?直系尊属(第二相続人)が相続人のときも、なし。配偶者が相続人であってもなくても同じ。
?配偶者も子も直系尊属も相続人でないとき、すべて。
※複数人の場合は均等割。ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の2分の1。
代襲相続
被相続人の子が、相続開始以前に死亡、あるいは相続人となることができない法定の欠格事由に該当するとき、もしくは廃除によって、その相続権を失っているとき、その者の子(被相続人の直系卑属の者に限る)が代襲者となり、相続人となります。これが代襲相続です。
さらに、代襲相続において代襲者となるべき者にも代襲原因(=相続開始以前に死亡、あるいは欠格、もしくは廃除)があるときは、その代襲者となるべき者の子が相続人となります。これが再代襲相続です。
再代襲相続は、代襲原因がある場合に、直系卑属が順次、代襲者となって相続人となります。
なお、相続の放棄をした者の代襲相続はありません。 代襲相続は、被相続人の兄弟姉妹についても認められていますが、兄弟姉妹の子までに限られています。つまり、兄弟姉妹の再代襲相続は認められていません。
相続税の計算に関して、平成19年9月に実施されたファイナンシャル・プランニング技能検定試験の2級学科試験の過去問をみてみます。過去問題は、きんざいの Webサイト http://www.kinzai.or.jp/ 、日本FP協会の Webサイト http://www.jafp.or.jp/ にて公開、ダウンロードができます。
問題 55
相続税の計算における相続財産に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 .相続人が受け取った、みなし相続財産とされる死亡保険金の合計額のうち、「5,000千円×法定相続人の数」に相当する金額までは非課税財産とされる。
2.相続の放棄をした者であっても、受け取った死亡保険金または退職手当金についての相続税の非課税財産の規定の適用を受けることができる。
3.死亡保険金に対する非課税限度額の計算上の法定相続人の数とは、法定相続人のうちに相続の放棄をした者があったとしても、その相続の放棄がなかったものとした場合の相続人の数である。
4.被相続人の死亡後3年以内に支給が確定した退職手当金は、相続財産とみなされて相続税の課税対象となる。
誤っている肢は、2 となります。
みなし相続財産とは、相続によって取得した財産ではないものの、相続財産と同様とみられる財産のことで、生命保険金、死亡退職金などがあげられます。そして、生命保険金のうち、「500万円×法定相続人の数」が相続税の非課税対象となり、死亡退職金のうち、「500万円×法定相続人の数」も相続税の非課税対象となります。
なお、相続税法上、相続税を計算する際の法定相続人の数は、相続放棄者があっても放棄がないものとします。しかし、相続放棄者は、上記の非課税の適用を実際に受けることはできません。
退職所得とは、退職手当、一時恩給、その他退職により一時に受ける給与およびこれらの性質を有する給与(退職手当等という)に係る所得をいいます。
ファイナンシャル・プランニング技能検定試験では、出題されることも多い事項です。
勤めていた会社から受け取る退職金のほかに、厚生年金基金から受ける一時金で、加入者の退職に基因して支払われるものや、確定給付企業年金法に基づいて支給される退職一時金(自己負担分を除く)なども、退職手当等に含まれます。
退職所得の金額の計算は、次のようになります。
退職所得の金額 = (収入金額 - 退職所得控除額)× 1/2
2分の1することがポイントとなります。
退職所得控除額は、次のような計算となります。
勤続年数が 20年以下の場合、40万円 × 勤続年数(最低 80万円)。
勤続年数が 20年超の場合、800万円 + 70万円 × (勤続年数 - 20年)。
勤続年数は、就職した日から退職した日まで、実際に勤務していた期間です。 1年未満の端数がある場合は、これを1年とします。たとえば、実際の勤続年数が 30年 3ヶ月のときは、勤続年数 31年で計算します。
譲渡所得とは、資産の譲渡による所得をいいます。譲渡所得の概要について確認してみます。
譲渡所得は、分離課税されるものと総合課税されるものに分けられます。土地等・建物等、株式等の譲渡には分離課税、それ以外の資産の譲渡には総合課税となります。
なお、株式等の譲渡は申告分離課税で、他の所得とは分離して「株式等に係る譲渡所得等の金額」に区分して課税となります。
土地等・建物等の譲渡の場合(分離課税)
譲渡した年の 1月1日時点で、譲渡した資産の所有期間が 5年以下の場合を短期譲渡所得、5年超の場合を長期譲渡所得となります。また、それぞれの譲渡損益は、分離短期、分離長期とあらわされます。
譲渡損益 = 収入金額 - (取得費 + 譲渡費用)
譲渡損益は、分離短期、分離長期それぞれで計算します。
また、分離短期と分離長期が、譲渡益と譲渡損となったときは、内部通算(赤字と黒字を相殺)します。
土地等・建物等以外の譲渡の場合(総合課税)
譲渡した日で、譲渡した資産の所有期間が 、5年以下の場合の譲渡損益は総合短期、5年超の場合の譲渡損益は総合長期とあらわされます。
総合短期、総合長期の譲渡損益もそれぞれ次の計算をします。
譲渡損益 = 収入金額 - (取得費 + 譲渡費用)
また、総合短期と総合長期が、譲渡益と譲渡損となったときは、内部通算(赤字と黒字を相殺)します。
そして、最高50万円までの特別控除額を、総合短期、総合長期の順番で控除します。
特別控除後、総合短期の金額と、総合長期の金額の2分の1が総所得金額に算入され、総合課税されます。
概算取得費
取得費は、原則として、取得に要した金額(購入代金や仲介手数料など)等の合計額から、建物等の減価の額(または減価償却累計額)などを差し引いた金額となります。
土地・建物を取得した場合は、その領収書類を保管している方は多いと思いますが、実際の取得費が不明な場合などには、取得費に概算取得費を適用することができます。
概算取得費 = 譲渡による収入金額 × 5%
概算取得費は、譲渡所得の基因となる資産の譲渡の場合のすべてに適用があります。
一時所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得以外の所得のうち営利を目的をする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得で、労務その他の役務または資産の譲渡の対価としての性質を有しないものをいいます。
一時所得の例をいくつか確認してみます。
・懸賞の懸賞金や、福引の当せん金。
・競馬の払戻金。
・生命保険契約等に基づく一時金、満期返戻金。
・損害保険契約等に基づく満期返戻金。
・遺失物取得者または埋蔵物発見者が受ける報労金。
上記のものであっても、業務に関して受けるものであるときは、一時所得から除かれます。(その場合は、事業所得など他の所得に分類されます。)
なお、宝くじの当せん金は、というと、非課税となっています。
一時所得の金額の計算方法は、次のようになります。
一時所得 = 総収入金額 - 収入を得るために支出した金額 - 特別控除額(最高50万円)
なお、一時所得の金額の課税は、上記の計算で得られた、一時所得の金額の2分の1が、総所得金額に算入され、総合課税されます。
一時所得に関連して、FP試験対策として少なくともこれだけはおさえておきたいと思われる事項をあげてみます。
・特別控除があり、その額は最高50万円であること。
ちなみに、山林所得も最高50万円の特別控除が適用されています。
・一時所得の金額の2分の1が、課税の対象となること。
ちなみに、退職所得の金額は、2分の1したあとの金額が退職所得の金額となります。一時所得の金額としては、2分の1する前の金額であることがポイントとなります。
雑所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得および一時所得のいずれにも該当しない所得をいいます。つまり、雑所得を理解するには、雑所得以外の9種の所得について理解することが必要となるのですが、雑所得の代表例がいくつかありますので、確認してみることにします。
・公的年金等の年金(国民年金、厚生年金、適格退職年金契約に基づいて支給を受ける年金など)。
・公的年金等以外の年金(生命保険契約・共済契約の個人年金)。
・割引債の償還差益。 ※ただし、特定の割引債の償還差益については税率18%の源泉分離課税で課税関係が終了します(住民税は非課税)。「割引債」は、額面より割り引いた金額で発行され、満期日に額面金額で償還される債券です。
・外貨預金の為替差益。
雑所得の金額の計算方法は、次の (1)の金額 + (2)の金額 となります。
(1)公的年金等については、収入金額 - 公的年金等控除額
(2)公的年金等以外は、総収入金額 - 必要経費
雑所得の金額への課税は、他の所得と総合した総所得金額から、総合課税されます。